でびでび・でびるのパーフェクトクッキングから見るvtuber料理番組の可能性

料理番組と聞いて人は何をイメージするだろうか? おそらく以下のようなものではないだろうか。

料理人は 事前に下準備を行った食材をスピーディーに調理し、スタイリッシュな動きと共に調味料を振りかける。 色とりどりの美味しそうな、完成された料理がテーブルの上に置かれ、共演者と共に料理を味わう。

有名なテレビ番組でもやっているスタイルだ。

だがそれは、人間の料理だ。悪魔の料理だから、人間が期待するようなものは出てこない。悪魔は人間の料理のことを何も知らない。人間に叱咤激励されながら、悪魔が料理を作る。それが、でびでび・でびるのパーフェクトクッキングである。

パーフェクトクッキング

調理担当はでびでび・でびる、にじさんじ所属のバーチャルライバーで悪魔である。アシスタントを担当するのは、同じくにじさんじに所属する鷹宮リオンと社築。

この配信は、にじさんじ料理対決の後継的な配信である。

にじさんじ料理対決では10人のバーチャルライバーがコンビを組んで5チームに分かれ、料理の優劣を競い合った。鷹宮とでびはでびリオンとして参加し、社は料理対決の審査員を務めていた。

にじさんじ料理対決 でびリオンチーム

鷹宮とでびはにじさんじ料理対決で優勝した。だが、そのチームワークは歪なものだった。圧倒的な料理の実力を持つ鷹宮がほとんど一人で料理を完成させてしまったのだ。その間、でびは、アイス温め係を担当していた。

大多数のリスナーは鷹宮にあれほどの料理の実力があるとは思っていなかった。むしろまったく料理はできず、エルフのえると家長むぎのコンビや御伽原江良や花畑チャイカのコンビのように壊滅的なものを作るのではないかとさえ思っていた。

鷹宮はポンコツの代名詞だ。しかもそのポンコツは他人さえも巻き込む。

デバフまとめ

故に彼女が持つ能力の一つにデバフである。RPGなどのゲームでステータスを下げること指した言葉だが、鷹宮と会話していると知能指数が下がってしまうらしい。代表的な犠牲者はでびだ。

でびは一方で、しっかりした悪魔という印象がある。鷹宮と一緒に暴れているように見えても、ある程度状況を見ていると感じるし、後輩への面倒見も良い。

だが、二人で料理している時はその関係性が逆転する。料理の事をまるで知らないでびが鷹宮に怒られる。鷹宮は母親のように、時に優しく、時に厳しくでびに接する。普段とのギャップにより鷹宮の株は爆上がりとなった。

鷹宮はにじさんじ料理対決のヒロインであった。

こんな素晴らしいコンテンツを一回限りで終わらせるのはもったいない。でびでび・でびるのパーフェクトクッキングは料理対決の最高に面白い部分を抜き出したものと言ってもいい。

そして、でびリオンの二人でもこの配信は成立するのだが、一つ問題がある。vtuberと料理は決して相性がいいジャンルとは言えない。vtuberの世界に食材を持ってくるのは技術的にかなりの困難が伴う。3Dで実際に調理している姿を見ることができれば、最高に面白いものが見られると思うのだが現状では難しい。

2019年12月31日に地上波で放送された「年またぎにじさんじ」では、書き初めや餅つきをやっていたので、割と遠くない未来に技術的問題をクリアできるのかもしれないが、それなりの機材が必要と思われる。

よって社による実況は絶対に必要で、見えないものの状況を伝えなければならない。見えている状況であってもスポーツ放送のように、第三者によって解釈した情報を言葉で伝えることは、理解を深めるためにも重要なことだ。社は素人麻雀で熱の籠もった実況を行い、実況者、解説者として優れていることを証明した。

素人麻雀実況

また社とでびは、時々ゲーム対決をやっている。

社とでびのスプラ対決

社とでびの対決は、言葉の上ではでびが社を攻め続ける。でびは社のことを歯車と呼んでいる。これは、社築(やしろきずく)をそのまま読むと社畜(しゃちく)であり、社は公式の紹介文でも、「IT企業の社員」で「週休35時間でそれ以外は常に仕事をしている」と説明されている。でびは、社が社会の歯車だと揶揄しているのである。

社は丁寧な言葉で下手に出続けるが、ゲームの実力は圧倒的に社が上で、でびは社にボコボコにされる。でびがイキって敗北する様は、なんとみじめで面白いのだろう、と思わずにはいられない。ちなみに社は笹木咲を相手にした時も同じようなことをやっている。

笹木と社のゲーム対決

社は寛容な大人だが、実際はゲームで他者を虐めることに快感を感じている歪んだ男なのかもしれない。「教育が必要なようだ」と言って、子供に暴力を振るう社築は、緑仙が作った設定だが、ネタではなく事実なのかもしれない。

「教育が必要なようだ」の元ネタなど

そんな鷹宮と社が見守る中で行うでびでび・でびるの料理の展開はどうなるのか。衆目の想定通りである。パーフェフェクトなんてありえない、イライラクッキングである。

リスナーは思う存分、でびが怒られる様を楽しむことができる。料理ができないでびは色々と間違いを侵すが、鷹宮は怒りつつもしっかりとでびをカバーし、食材を無駄にはしない。最後には料理をきっちり食べて、ハッピーエンド。幸せな世界である。

料理が得意なライバーが、料理下手なライバーに料理を作らせて、ディスったりカバーするスタイルは料理番組の一つの形として確立された。にじさんじにはいくらでも料理下手なライバーがいると思われる(にじさんじのライバーは家事を不得手としている人が多い)ので、キャストを変えて行うことも可能である。料理対決も、できる人とできない人を組ませて、イライラクッキングコンビ対決編も行うことが可能である。

このようにvtuberの料理配信は可能性に満ちあふれている。今後も様々なスタイルを模索して、リスナーへの素晴らしいエンタメを提供してほしい。