にじさんじでポケモンマスターを目指す男、その名は卯月コウ

にじさんじにポケモンマスターを目指している男がいる。

その名は卯月コウ。

憧れの人に将来の夢は何か? と問われた時、コウは臆面も無くそう言った。

コウのポケモンに対する思いは強い。かつてはレートバトルにのめり込んだし、今でも配信でポケモンをプレイしている。間違いなくにじさんじで最もポケモンがうまいプレイヤーだろう。

だが配信上でのコウは決して華々しい成績を残していない。Vtuberピカブイエキシビショントーナメントでは、初戦でコントローラを強く握りしめてNintendo Switchをスリープさせた。

あれからほぼ1年、ポケットモンスターソード・シールドにじさんじ杯が開催された。これは卯月コウの雪辱戦である。

熱意も実力も人一倍持っているが、コウにのしかかるプレッシャーは小さくない。

先日、コウはぱんコウじょのコラボで、笹木咲、リゼ・ヘルエスタとポケモンを同時プレイした。だが、二人とも今回のにじさんじ剣盾杯には参加していない。
ぱんコウじょ対ずしり戦の雪辱を願うものもいる。同業者たちやリスナーの期待も大きい。
またプレッシャーに押しつぶされるのではないか、そんな声が聞こえる中で、大会が始まった。

本記事では、卯月コウの試合を解説しレポートする。ネタバレを含むので、先または同時にアーカイブ視聴を推奨する。

大会ルール

まずは大会レギュレーションを確認しよう。基本はポケモンソード・シールドの公式ルール、ガラルビギニングに準ずる。手持ちポケモン6体から3体を選出するシングルバトルで、今作の目玉であるダイマックスも使用できる。

特筆すべき特殊ルールとしては、厳選ポケモンの努力値振りが禁止されている。これはストーリー進行で使用したポケモン、いわゆる旅パで対戦できるように想定したルールである。努力値は、経験値を得られるポケモンバトルによって取得できる値で、バトルの回数を重ねるほどステータスが高くなる。相手のポケモンの種類によって上昇するステータスは変わるので、好きな場所に値を振ることが可能である。上限はあるが、一部のステータスに極振りすると、二種類のステータスが2~3割程度上昇する。レーティングバトルでは努力値を振ることが前提のため、コウのような対戦経験者はダメージ感覚の違いに苦しめられるだろう。

ポケモン解説

続いて、コウのパーティについて簡単に説明する。
リザードン、バンギラス、ミミッキュ、ロトム、ドラパルト、ホルードだ。

リザードンはポケットモンスターの顔で、コウが好きなポケモンでもある。タイプはほのお、ひこうでほどほどの速さとほどほどの火力を持っている。今作ではキョダイマックスを獲得し、ダイマックスわざのキョダイゴクエンを使用できる。キョダイゴクエンは追加効果で4ターンの間、1/6のダメージを与えることができる。

バンギラスは高い攻撃力とタフさを誇る。タイプはいわ、あく。特性すなおこしによって、フィールドの天候がすなあらしになる。すなあらし中は、いわ、じめん、はがねタイプ以外のポケモンは1/16のダメージを受ける。バンギラスはいわタイプなのでダメージを受けず、さらにいわタイプはすなあらし中にとくぼうが1.5倍になるため、とくしゅ攻撃には尋常じゃないほど固い。弱点が非常に多く、かくとうタイプが4倍のダメージで、その他6タイプは2倍のダメージを受ける。

ミミッキュは対戦環境での採用率が非常に高い。タイプはゴースト、フェアリー。特性ばけのかわによって確定で一撃を耐えることができる。フェアリータイプのため、ドラパルトのドラゴンわざを無効にできる。

ロトムは特性ふゆうにより弱点のじめんわざを受けない。タイプが異なる複数の亜種を持つが、良く使用されるのはみずタイプとほのおタイプで、コウはみずタイプを採用した。タイプはでんき、みず。弱点が少なく、攻撃範囲が広いためパーティ構成をカバーするためによく採用される。

ドラパルトは今大会でも採用率ナンバーワンのポケモンだ。タイプはドラゴン、ゴーストで、バンギラスと同じ600族である。600族は伝説のポケモン以外で、シリーズの顔となるポケモンである。過去のバージョンの600族はカイリュー、ガブリアスなどが存在する。環境に存在するどのポケモンよりも速いし、攻撃力も低くない。

ホルードはコウがただ1人採用したポケモンである。タイプはノーマル、じめん。特性ちからもちで数値以上のこうげき力を持つ。努力値が無い場合効果は薄くなるが、それでもドラパルトより高い。タイプ一致のでんこうせっかが可能。環境にゴーストタイプが多いので、その受けを想定していると思われる。

ベルモンド・バンデラス戦

初戦の相手はベルモンド・バンデラス。ベルモンドはマインクラフトでのダイヤ遭遇率の高さ、ガチャ配信での引きの強さなど、運が強い。ポケモンは運ゲーと良く言われる。実力差を覆すのが運、そういう怖さがある相手だ。

ベルモンドのパーティのうち4体は卯月と同様のポケモンを採用している。注目ポケモンはバンギラスだろう。ベルモンドは夢月ロアにバンギラスと呼ばれ、大会に出してきたバンギラスにも「オレ」というニックネームをつけている。コウの選出は、ホルード、ロトム、ドラパルト。コウは明言していないが、おそらくバンギラスを意識した上でのホルード選出と思われる。

開始直後のBGMを鼻歌で歌うコウ。精神状態は悪くない。お互いの1体目はコウがホルード、ベルモンドがアーマーガアだった。

「まずい対面が仕上がってくー!」

との言葉通り、ホルードに不利な対面である。アーマーガア今作の序盤に出現する鳥ポケモンである。はがねひこうタイプで耐久力が高い。アーマーガアはじめんわざを無効にし、ノーマルも半減するため、コウのホルードは有効打を持っていない。

「やばいな。普通にやばいな。終わったか?」

とコウは1ターン目から弱気になる。ピカブイ杯での敗戦インタビューが頭をよぎったのかもしれない。 コウはロトムに交換した。アーマーガアはちょうはつを打ち、ロトムはへんかわざが打てなくなる。


2ターン目にコウはボルトチェンジを選択。ベルモンドがドリュウズに交換してきたため、ノーダメージとなった。ロトムがハイドロポンプを打つと致命的だが、でんきわざだったため、ベルモンドにとって有利な状況が出来上がる。

3ターン目、両者ダイマックスを行った。ダイマックスはHPが2倍になり、追加効果持ちの高攻撃力のわざに変化する。ドリュウズがロトムに対してダイアースを放つ。ロトムはダイアースを耐えて返しのダイストリームを放つが、ダイアースにドリュウズのとくぼうが上がったため、1/3弱のHPを残した。この時点でコウはかなり不利な状況を背負ってしまう。居座っても落とされるし、コウの裏のポケモンはダイアースを半減出来るポケモンが存在しない。いくらか悩んだ末にコウは居座りを選択。ロトムが落とされる。

コウはドラパルトを繰り出した。ダイマックスは3ターンで解除されるため、ゴーストダイブで時間を稼ぎながらドリュウズを落とすことを狙う。ゴーストダイブは2ターンかけて攻撃するが、ダイブ中は相手からダメージを受けない。ベルモンドはアーマーガアに交代した。ゴーストダイブのダメージでアーマーガアの体力は半分よりも少し多い程度しか削ることができない。コウはアーマガアの弱点をつけるかえんほうしゃを選ぼうとするが、こだわりスカーフを装着していることを忘れていた。こだわりスカーフは1種類のわざしか出せなくなるが、はやさが1.5倍になるアイテムである。

対戦経験を積んだものならやってはならない、致命打にもなりえる勘違いである。コメント欄は応援や罵倒であふれかえる。交代先はホルードのみ。前述のとおりアーマーガアに打点がない。

「これ、負けたか?」

弱気な発言をするも、状況を打開するための策を考える。

アーマーガアははねやすめで回復できるため、2ターンに1回しかダメージが与えられないゴーストダイブでこだわりつづけても勝ちはないと判断し、ホルードに交代した。アーマーガアはブレイブバードを撃つ。ホルードのHPは半分以下になったが、ブレイブバードはダメージの1/3が自分にも入るため、アーマーガアのHPも半分以下になった。

「余裕はある」「裏次第か?」

コウ、勝利に至るための細い道が見え始める。

コウは再度ドラパルトに交代。アーマガアはブレイブバードを連発。ドラパルトのHPも半分以下となる。コウのポケモンは2体とも傷つき、ベルモンドは1体を完全に温存、辛い状況が続くが、コウは諦めていない。

ドラパルトのかえんほうしゃでアーマーガアを落とす。「これ、普通に負けたくせぇ」コウの頭の中で勝利と敗北が渦巻く。コウはホルードに交換。ベルモンドはバンギラスを出す。

ホルードはバンギラスのかみくだくをHP6で耐える。

「よおし、いい子だ!」

自身の読みが当たったことに喜ぶ。ホルードのじしん。

「頼む。お前の火力を見してくれ!」

バンギラスを一撃で飛ばすことを願う。HPは瀕死のラインまで減ったが、落とせない。

「うあああ!! やべぇーーーー!!!」

絶叫するコウ。返しのかみくだくでホルードが落ちる。

残るはドラパルトのみ。ベルモンドはまだ2体残している。かえんほうしゃとゴーストダイブ、もう交代できるポケモンはいないため、どちらかにこだわりつづけることになる。いくらか迷った末に、コウはゴーストダイブを選択した。交代先のドリュウズを落とし、コウはやっと優勢になったと認識できた。

だがイバンのみを持っているかもしれないことを怖れる。イバンのみを持っていると、体力1/4以下の時に先制攻撃できる。だが、幸いにしてバンギラスの持ち物はとつげきチョッキだった。

バンギラスはゴーストダイブを半減するが、それでも耐えることはできなかった。

「ああ! あぶねぇ!」と勝利を喜び、辛くもコウは一勝を拾うことができた。

鈴木勝戦

コウの二戦目の相手は鈴木勝、おなえどし組のユニットも組んでいる相手、しかもおなえどし組の出雲霞は別ブロックで勝ち残っている。負けられない一戦だ。

鈴木勝は黒一色のパーティ。採用率が高くないポケモンが多く、なにをしてくるか分からない怖さがある。

コウの選出はロトム、バンギラス、リザードン。ここで初めてコウの相棒であるリザードンが登場する。

1ターン目はロトム対ブラッキー。「こいつ普通にゲロだから」という言葉通り、コウのパーティはあくタイプに対して弱点をつくことができない。

絡め手でコウのロトムはブラッキーを封じるトリックを決めて、こだわりブラッキーを完成させる。トリックは持ち物を交換するわざである。スカーフは高速アタッカーが持てば有用なアイテムだが、ブラッキーのような耐久ポケモンはスカーフを持っても抜けるポケモンはほとんどなく、わざが縛られろくに機能しなくなる。

ブラッキーの選択はあくび。あくびは次のターンに確定で眠らせることができる。自身が倒された後に、相手を眠らせることで次に出すポケモンの能力上昇わざを使う準備を整えたり、交代を強要させることができる。

ただしコウのロトムはボルトチェンジを覚えている。ボルトチェンジは交代しながら、ダメージを与えることができるため、あくびに対するカウンターのわざと言える。しかも勝の6体にはでんきを無効にできるポケモンが存在しない。勝はシャンデラに交換するが、コウはロトムでボトルチェンジを選択。シャンデラを削りつつコウはバンギラスに交換した。

シャンデラはダイマックスし、ダイソウゲンを選択。コウの読み通り、弱点わざのダイソウゲンをバンギラスは耐えきった。かみくだくでシャンデラを落とし、一方的にダイマックスを消費させる。バンギラスの堅さと火力に感心したコウが言い放つ。

「このルール、種族値が大事。当たり前か、ポケモン種族値が大事」

身も蓋もない発言であるが、その通りである。

勝はオーロンゲを出し、アームハンマーでバンギラスを撃破する。ここで満を持してのリザードンが登場。

「優勢に見えるからって即決が良くないな。もっと考えよう」種族値について話したり、余裕を見せていたが、まさかが起こりえるのがポケモンである。コウは気を引き締めた。

リザードンはみがわり、勝はブラッキーに交換する。みがわりを残してブラッキーと対面し、圧倒的に有利な状況が出来上がった。

だが、コウはここからミスを連発。

「これがオレの自慢のリザードンだ!」

そう格好良く宣言したが、ダイマックスしたリザードンはみがわりが消えてしまった。

しかもキョダイゴクエンには交代を封じる効果があると勘違い。実際には継続ダメージを与えるという効果である。

だがそれでも既に大勢は決していた。リザードンはオーロンゲを落とし、残すはスカーフで縛られたブラッキーのみ。ブラッキーは回復わざのつきのひかりを使ったため、2体を残すコウに勝つ手段はなくなった。勝は降参し、コウは準々決勝まで勝ち上がった。

ベルモンド・バンデラスとの熱い勝負から一転、ダイマックスの仕様を完全に把握しておらず、慌てる様を見せる、実に卯月コウらしい試合だった。しかも卯月はダイマックスアメも使っていなかった。ダイマックスアメを与えないと、ダイマックスした時のHPが2倍にならない。コウは仕様を知らなかったようだ。

星川サラ戦

3戦目のブロック最終戦。星川サラとの戦い。星川は叶を相手にブラッキー対策を施し勝利した、侮れない相手である。要注意ポケモンはライチュウ。星川のパートナーでストーリーでも活躍したポケモンである。

コウの選出はロトム、ミミッキュ、ドラパルト。

初手はロトム対トゲキッス。

「オレの、危険予知が働いたね」「にじさんじのナマズンこと卯月コウ」

言葉通りの有利対面でコウはボルトチェンジを選択。星川はエアスラッシュを選択。星川のトゲキッスがはやいため、ロトムはエアスラッシュを受けるが、半減のためダメージは少ない。だがロトムが怯んだ。トゲキッスはてんのめぐみにより、追加効果の発生確率が2倍になる。エアスラッシュは通常30%でひるむが、60%の確率でひるむ。

2ターン目、二人とも同じわざを選択するが、二連続のひるみが発生。

「うあぁぁぁあ!!!!」

コウ、叫ぶ。金ネジキのトラウマが蘇る。ひるみ続けてロトムが何もできない恐怖に襲われる。

3ターン目にダイマックスを視野に入れるが、後々の事を考えて控える。半眼で3連ひるみに怯えるコウ。だがさすがに神もそこまで意地悪ではなかったようだ。ひるみはなく十万ボルトがトゲキッスに直撃する。双方のダメージはほぼ同等となった。

ロトムを捨てる覚悟でそのまま居座った。ひるみは発生えず、エアスラッシュを耐えたロトムがトゲキッスを落とす。

星川はバンギラスを繰り出した。裏のポケモンはアタッカーのみで、交代してダメージを蓄積させたくない。バンギラスがりゅうまいを持っていると、そのままこうげきとすばやさを積まれて、バンギラスが止まらなくなるが、その可能性は低いと予想しロトムで削る。ここで神は卯月コウに味方した。十万ボルトで10%の麻痺を引き、さらに25%のしびれが発動しバンギラスは行動できない。星川のひるみよりも、遙かにえげつない豪運を引き寄せる。

ロトムが落ち、ミミッキュを繰り出す。星川のバンギラスがダイマックスによってミミッキュの攻撃を耐えて、ミミッキュのばけのかわを剥がされる可能性を想定する。コウはミミッキュをダイマックスさせることでバンギラスを落とそうとする。星川のバンギラスは場に居座り、ミミッキュは無傷でバンギラスを突破する。

星川は最後の1体、ドラパルトを繰り出してきた。コウの勝勢だが、冷静に負けに繋がる可能性を検討する。星川はゴーストダイブで時間を稼いだが、ダイホロウの一発でコウが勝利した。

ダイホロウで相手の防御が下がるため、相手がダイスチルで防御を上げても問題は起きない。そしてコウのドラパルトがふいうちを覚えている。ふいうちは相手の攻撃わざに対して先制攻撃できるため、同速負けもなく確定で勝てる状況だったようだ。試合に勝利した後も、自分の読みを再確認する。卯月コウに油断はまったくない。

勝利後のインタビューで「かなりのプレッシャーだったと思うんですが……」という天開司の質問に、「いやープレッシャーでしたね。でもここまで来たらもう負けても許されるだろってとこまで、ここ勝てたんで、ブロックはね。抜けれたので」と答えた。やはり相当のプレッシャーを感じていたようだ。それでもコウは勝利した。

決勝・準決勝

準決勝までの残ったのは、出雲霞、夜見れな、舞元啓介の三人。日時は11/29 19:00から、コウはおなえどし組の出雲霞と準決勝で対戦する。

最後に優勝を願いエールを送る。

勝て! 卯月コウ! ポケモンマスターになってこい!